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百花繚乱の昭和元禄。
文化の振幅はいやが上にも大きさをつのらせ、
価値観は多様化を極めた。
その波の頂に、
流麗なるルーチェ・ロータリー・クーペがいた。
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●さらに輝かしい '70年代に向かって、
'69年はフルスロットルでいろいろな新しさを生んだ。
●5月--東名高速道路が全線開通する。6月--海に原子力船 "むつ "が浮かび、7月--アメリカの宇宙船 "アポロ11号"が月面に着陸、アームストロング船長が人類初の一歩を印した。
街角では全盛を極めていたミニスカートに混じってジーンズ、パンタロンの女性も現われ、新しいコーディネイトが生まれた。
住友銀行が初めてキャッシュカードによる現金自動支払機を設置してサービスもスピードアップ。
2ドア冷凍冷蔵庫が登場し、冷凍食品時代が始まるのもこの年だ。
「昭和元禄」はなお加速し、小川ローザは白いミニスカートをひるがえして「おお、モーレツ!」と叫ぶ。
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●カートリッジ式のカーステレオも流行り始め、より高級な、新しいタイプのクルマを望む声もあがりつつあった。
そして現れたのはイタリアン・カロッツェリアの流れをくんだ工芸品的スタイルのルーチェ・ロータリー・クーペ。('69年10月)
従来からの高級車といえば、"運転手付きの黒いセダン"が常識であったが、ルーチェは見事にそれをくつがえした。
新開発 13A型 126psのエンジンをハードトップボディに載せ、このクラスでは初のFF方式を採用。
三角窓を取り払った開放感あふれるスタイルは格調高く、エアコン、パワーウィンド、パワーステアリング、カーステレオなどの高級装備を満載していた。
クルマを自己表現の手段として使い始めた若い世代に対抗して、大人たちのファッション感覚を刺激しつつ、爛熟した時代にふさわしい高級パーソナルカーの世界を提唱したのがこのクルマだ。